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美しい夜を目指した発明家同士の火花散る電流戦争 『ミッションX:交流電流の発明』

こないだ見てきた映画『プレステージ』のキーパーソンとして描かれていたN・テスラ博士。そこで描かれていた発明は、正直有り得ないんですが、このテスラ博士自体はあまり有名でないけれど実在する発明家です。

「交流の父」とも呼ばれるテスラ博士。近年ではようやくその功績が評価され、磁束密度の単位にその名が採用されました。そんなテスラ博士の解説がある番組が、ディスカバリーチャンネルで放映されました。それが『シビリゼーション ミッションX:交流電流の発明』。映画劇中でも少し描かれていましたが、テスラ博士とエジソンの確執も盛り込まれていて実に面白いです。ただ、交流電流の発明とある割りにスポットが当たっているのは権利を買い取ったウェスティングハウスで、そこはちょっぴり残念。しかし、G・ウェスティングハウスも1つのレバーで全ての車輪にブレーキをかける空気圧ブレーキを発明した発明家だし、エジソンの大会社を相手にするにはテスラ博士の資金力が乏しかったという面もあり、この構図は致し方なかったかも。要するに、ウェスティングハウス社&テスラ VS エジソン社という形で構成された番組です。最終的には長距離輸送、安全性共に秀でていた交流電流が後のスタンダードになって交流が勝利して締め括られます。

以降、ポイント毎に感想を。


■交流システムの特許料
変人偏屈列伝ではウェスティングハウスにうまい事やられて特許を手放したように描かれていましたが、実際は1馬力の単位で支払う契約が成されていたようです。電気の特許料はそうやって支払われるのか。すごい、こりゃー汲めども尽きぬ打ち出の小槌だ。

■やれば出る、出るならやらぬ 謝礼と独立
パリのエジソン支社から優秀な人材として遣されたN・テスラ青年を、エジソンは採用します。ややあって、直流ダイナモの開発を命じ、出来たら5万ドルのボーナスを支払うと約束しました。(この課題内容はWikiによると、「提示した直流用の機器のどれかひとつでも交流用に使えるものに出来たらボーナス」、というものであったらしい)
1年後、見事に改良を果たしたテスラ博士。この報酬で独立するつもりだったテスラ博士は早速支払いを求めます。しかしエジソンは、これを「ジョーク」の一言で片付けちゃいました。この不誠実な態度に当然怒るテスラ博士。激しくぶつかり合った結果、エジソン社を辞めちゃいました。まあ当然でしょう。
多分エジソンはテスラがそのボーナスで独立するのを知っていたんだと思います。何故なら、自分もかつて同じ事をしたから。勤めていた会社で電信機の故障の修理と改良を施し、それが社長はいたく感激し2万ポンドの謝礼をエジソンに払ったんです。その結果、エジソンは独立して会社を起こしたわけです。出来のいい社員にまとまったお金を渡すと独立して成功する事を身をもって知ってたわけですよ。だから支払わなかったんでしょう。
とはいえ、口約束(だと思う)とはいえ約束したことをジョークで反故にするエジソンも大したもの。どうせ出ていくなら一銭もやらんという根性がスゴイですね。

■知識の共有のためにもドキュメント化を
失敗から成功を生み出すエジソンにとって、実験の記録を残す事は当然の作業。しかしテスラは実験結果でさえも全て記憶出来るスーパーな人だったので、そういうのを一切書かなかったそうなんですね。それはスゴイ事です。確かにスゲー事なんですが、それってどうなんでしょうか。努力の人であったエジソンが云々というのではなく、単に会社という組織では通用するものではないですね。ドキュメント化しないとエラい事になるのは経験上知っているので、ここはエジソンが正しい。さすが事業家。

■欧米式宣伝法その1:基本は相手を貶めるところから
欧米のプロパガンダってどうしてこうなんでしょうか。
暴れた象を処刑するのに敵方の交流電気を使って処刑するとか、新開発された電気椅子処刑に交流を勧めるとか、相手会社の発電機がそれに最適として推薦するだとか、刑の名前に相手の社名(個人名)の「ウェスティングハウスの刑」と付けたりとか、ええとエジソンってダメな人?
これに対し、テスラ博士の反撃は自分の身体に電流を流して電球を点けるというもの。自分の身体を張ってる上に安全性もアピール。欧米じゃどうか知らないけれど、日本で受けるのはテスラ博士の宣伝です。

■電気の特許とその売買法
シカゴ国際博覧会の案件を、値段を安くする事で受注したウェスティングハウス。しかし融資の目処が立たず、テスラへの特許料支払いが滞る一方でした。現状をテスラ博士に話して契約の破棄を求め、それに応じたテスラ博士。損得勘定なしに打倒エジソンの為に手を取り合った二人。いい話ですが、テスラ博士が夢を取る事をウェスティングハウスが計算に入れていたのだとしたら、そこはかとなく腹黒くも見えてきます。実際は違うんだろうけど、第三者から見たらウェスティングハウスがうまい事やったと見えなくもないです。変人偏屈列伝ではそういう解釈だったのかな。

これに対してのエジソンの報復がまたスゴイ。自社の電球を使用させないという手段に出てきました。最初どういう事がわからなかったんですが、これはつまりシカゴ博覧会での受注が「電気」そのものであったという事です。現在では電気を買うのに製造元を選んだりしないのでピンと気にくいですが、要するに発電機単位と考えればわかりやすいかも。直流側が受注していたら発電所から建設していたと思うので、そういう事で合っていると思います。で、エジソンの取った行動がどういう事かというと、ウチの発電機使わないなら電球も使うんじゃねえぞ、って事。どんどん痛い人になってますエジソン。電球売って設けるとか考えないんでしょうか。とにかく困らせたいだけ。それは成功したのだろうけど、不眠不休で困りながらも自社で電球を生産したウェスティングハウスは儲かったんじゃないだろうか。



■おまけ 荒木先生の描いたテスラ博士がカッコ良すぎる件について
テスラ博士
鬼窪先生もいいのだけれど、こういうのを見るとやはり荒木先生の描いた変人偏屈列伝が見たくなってしまう。



▼参考リンク
DiscoveryChannel ミッションX
ニコラ・テスラ(Wiki)
発明超人ニコラ・テスラ
ニコラ・テスラ 稲妻博士と呼ばれた男
ウェスティングハウス・エレクトリック(Wiki)
映画『プレステージ』公式サイト

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